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かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ

魯山人書論

北大路 魯山人

北大路魯山人『魯山人書論』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鑑賞力なくして習字する勿れ、芸術的な書と非芸術的な書、習書要訣、書道習学の道、書道と茶道、書道を誤らせる書道奨励会、美術芸術としての生命の書道、よい書とうまい書、遠州の墨蹟、現代能書批評、高橋箒庵氏の書道観、陶磁印六顆を紹介する、能書を語る、墨蹟より見たる明治大正の文士、魅力と親しみと美に優れた良寛の書、牧渓の書の妙諦、柳宗悦氏の筆蹟を通じその人を見る、良寛の書。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,639 字 · 175 页

青空文庫

だが益田さんは既に八十何歳の老翁だ。齢八十何歳にしてこの書だとすると、いささか色気があり過ぎる、艶があり過ぎる、利口すぎる。

今日の益田さんは、目今天下有数の茶人である。今のその人の書としての欲をいえば、もっと下手であって欲しい。少なくとも下手を心掛けて欲しい。しかるに今なお層一層上手たらんとしているかに見えるのが遺憾である。

今更いうまでもなく、書は容ばかりが尊いのではない。まして茶人の書は容よりは、むしろ心にのみ重きを置かねばならぬもの、それが茶道であろう。

とはいうものの、そんなら今日益田さんほどの字を書く茶人は、他に誰があるかといえば、それはない。だから、そういう意味では、益田さんの書は、今日稀に見る優れた書である。この書をみても考えられることは、もし益田さんにして茶をやっていなかったら、世間にありがちな書家のように、ただうまいばかりの俗字を書いていたであろうと想像が出来る。それが長年の茶道生活、審美生活により美的教養がものをいって、書にも自ずから、一種の風流、一種の美を加えて自由に筆が運ばれている。その点でこの書は当今稀有として賞讃に値する。