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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

吉川英治『鳴門秘帖(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鳴門秘帖、鳴門秘帖、鳴門秘帖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 页

青空文庫

ところが旦那、太え女もあるもんで、この人のいい宅助に鼠薬を舐めさせやがって、プイと、途中で姿を隠してしまいました」

「それは、無理もない話だ」

「ですが、それじゃ宅助が、旦那へ顔向けがなりません。それに、毒を呑ませやがったのも業腹なんで、実は、お恥かしい話ですが、小遣銭も空ッぽのため、この二日ほどは食わず飲まずで、お米のやつを、探し歩いておりました。――すると、悪い時にゃ悪いことが重なるもんで、今日はやっとこの近くで、四国屋の御寮人様に逢い、いくらか、当座のお小遣いにありついたと思うと、そこへ、ぶらりと来た奴が、……エエト……そうだ、法月弦之丞という、いつか大津の時雨堂に潜っていた虚無僧なんで」

「なに、弦之丞に逢った?」

おうむ返しにいって、向うの土手にゴロついていた者が、いっせいに起き上がって来たから、宅助は尻込みして、あとの言葉を忘れ、ただ目ばかりをしばたたいている。

「どこで逢った?」

「連れはいたか」

「どんな姿で――どう向ってまいった?」

八方から矢のような質問が降るので、これでは当人も答えられまいと、一同の言葉をとめて、お十夜と周馬だけが側へしゃがみながら、