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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

吉川英治『鳴門秘帖(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鳴門秘帖、鳴門秘帖、鳴門秘帖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 页

青空文庫

何がなんだか分りゃあしません、途方もねえ大暴風雨です。だが、ヒョイと目を開いた時には、向うの船の赤い灯が、前よりよッぽど大きく見えて、なんだか、わーッという声が聞こえやした。近寄ったナ、と思う途端に、その灯も消えれば向うの船も、グルグル廻っているようでした。なおワッワッという人間の声です。まもなく白々と夜が明けて、少し凪いだ時には、こっちの船は、昨日の小松島を素通りにして、日和佐手前の由岐の浜へ、ギッギッと帰っていたんです。……ヘイ、これだけいえば、もうお分りでございましょう、その船の中へ、何をすくい込んで来たか、これ以上、棟梁のしたことをはッきりいうのは、なんぼなんでも、舌がしびれていえません。どうか、お察しなすって下さいまし」

いかにも眼八には、これ以上の贅言をきく必要がない。

あの理智の澄んだ四国屋のお久良が、大阪表からつづらを首尾よく乗せただけで、阿波に到達した時の、より以上きびしい岡崎の船関や、撫養の木戸の厳重を、案じていない筈はない。

で、沼島の沖あたりで、こう、かく、というような諜しあわせは、とくから諜しあわされてあったのだ。

してみると。