轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
吉川英治『鳴門秘帖(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鳴門秘帖、鳴門秘帖、鳴門秘帖。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 页
なにしろそれから二日の間に、かれの姿はいっそうみじめなものとなって、生霊のように、ふらりと現れたのが二軒茶屋――玉造の東口なのである。
大阪から南都へ出る街道口、そこには、伊勢や鳥羽へ立つ旅人の見送りや、生駒の浴湯詣で、奈良の晒布売り、河内の木綿屋、深江の菅笠売りの女などが、茶屋に休んで、猫間川の眺めに渋茶をすすっている。
そこへ来ると、宅助は、空いている床几を目がけて、ドーンと腰をおろしてしまった。
ふウ……と吐息をつくと、何か、訳の分らぬことをつぶやいて、こんにゃくのように体ぐるみ、フラフラと首を振っていた。
晒布売りの女がクスクスと笑った途端に、あたりに腰を掛けている旅の者が、声をこらえて吹きだした。で――宅助は、初めて自分が、衆目の中にいることを知って、思いだしたように、とつぜん、一同へお辞儀をした。
「へい、皆さん、わっしゃ女に逃げられてしまったんです、女にね。おまけに、毒を呑まされたので、少しこのウ……頭の芯がフラフラとしていて、向うの山も、この家も、人様の顔も、動いて見えるくらいですから、少し様子がおかしいでしょう……。ですが、狂人じゃございませんから、笑わないでおくんなさい。