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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
——二川家殺人事件
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,792 字 · 82 页
二川の子供が生れた。僕の方は一月ほど後らしい。
子供が生れたという報を受取って、京都へ飛んで行き、やがて帰って来た時の、彼の歓喜雀躍ぶりは到底筆紙に尽せる所ではなかった。
僕が喜びに行くと、彼は僕に抱きつかんばかりにして、
「君、君、男の子だよ。ぼ、僕にそっくりなんで。そりァとてもよく似ているぜ。君は信じないだろうけれども」
「え、僕が信じないって、そりァ、どういう意味だ」
僕は彼が変な事をいうので、急いで訊き返したが、彼はもう夢中で、
「いやさ、君が信じようが信じまいが、僕の子供は僕にそっくりなんだぜ、丸々と肥った色の白い、とてもいゝ子なんだ」
「二川家も之で万々歳だね」
「そうだとも。もう大丈夫だ。重武なんかに指一本指させる事はない。朝子もどんなに仕合せだか分りやしない」
「奥さんも喜んだろうね」
「僕が躍り上って喜ぶのを見て、泣いていたよ」
「所でだがね」
僕は重武の名が出たので、ふと思いついて、
「もう君も後継が出来たから安心だし、重武君もこの頃は大分身持も直ったようだし、目出度い事のあったのを幸いに、勘当を許して、東京に住むようにして上げたらどうだ」
僕は多分二川は嫌な顔をするだろうと思ったが、案外しんみりとして、