轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

しかしその間、検事は、頸筋の襟布を指で摘み上げて、しきりと後頭部の生え際のあたりを瞶めていた。が、そうしているうちに、その眼が不気味に据えられてきた。

「僕は、レヴェズに対するゴシップが、あまり酷評に過ぎやせんかと思うのだ。どうだろう法水君、この胡桃形をした無残な烙印には、たしか索溝の形状と、背馳するものがあるように思われるんだが」とてっきり、胡桃の殻としか思われない結節の痕が、一つ生え際に止められているのを指し示して、

「なるほど、索状が上向きにつけられている。そうしたら、こんな結節の一つ二つなんぞは、恐らく瑣事にもすぎんだろう。しかし、古臭いフォン・ホフマンの『法医学教科書』の中にも、こういう例が一つあるじゃないか。それは――床に落ちた書類を拾おうとして、被害者が身体を踞めたところを、その一眼鏡の絹紐で、犯人が後様に絞め上げたと云うのだ。勿論そうすれば、索溝が斜め上方につけられるので、後で犯人は、その上に紐を当がって屍体を吊したのだよ。ところが、頸筋にたった一つ結節が残されていて、とうとう終いには、それが、口をきいてしまった――と云うのだがね」そう云ってから、レヴェズの自殺を心理的に観察して、検事はこの局面で、最も痛い点に触れた。