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くろべきょうこく
黒部峡谷
木暮 理太郎
「東京朝日」1919(大正8)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,752 字 · 26 页
若し地表に湧出すれば流紋岩となるという)が岩脈状をなして花崗岩の間に迸入した。薬師岳の如きは流紋岩に類似せる角閃小紋岩から成っている。又立山附近から北方の山骨は、片麻質花崗岩より片麻岩に推移しているという。斯く立山後立山の両山脈は同じ花崗岩類であっても、時を異にして迸発したものの集合体である。加うるに火山脈がまた山脈の走向と殆ど一致して之を縦貫している。そして是等及び其後に於て幾度か繰り返されたであろう地変の為に、大小の断層が生じ、それが互に交錯しているであろうから、黒部の本流は勿論其支流も、流路の一部或は全部を其断層線上に仰いでいる場合がないとも限るまいし、此両山脈の山に熟み割れた柘榴のような壊裂的な峰頭や、山稜が凹字形に抉れて、越中の人夫が「窓」とうまい名を付けた通過困難な悪場が少くないのも亦その為であるかも知れないと思う。
最後に此の両山脈に於ける積雪に就て考えて置く必要がある。冬期日本海を渡って押寄せる西北の恒常風は、尽く其水蒸気をさらい来って、真先に撞き当るのが立山山脈であるから、此処に多量の降雪(孰れの山脈に於ても風上よりも風下に当る山稜の側面が余計に積る)を見るのは言う迄もないが、劒岳の正東に聳えている鹿島槍ヶ岳以北の後立山山脈は、之と比較す可き立山山脈の北半よりも、平均して三百米も傑出し