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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
線上閱讀中村 清太郎《ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 頁
代かきは言うまでもなく、植付け直前の整地作業である。これが出現の地点は、白馬本山の東面、頂上から北に下った、高度二千五、六百メートルの辺で、頭を南に向け、尾はスカイラインをはね出さん勢いだ。この山に登る人は、大雪渓を前に、シロウマジリの小屋をすぐるであろう。あそこへ「代馬」周辺の水を集めた白馬沢が落合う。それで白馬尻なのである。この連峯にはまだ外にも、乗鞍岳の「種蒔き爺さん」、鑓ガ岳の「鶏」「鶴」など、めでたい雪形が出る。いずれも世に知られぬ面白いものだ。新緑かおる北城村四谷、大出の辺で、これら自然と人間の合作ともいうべき幻像を眺めるのは、何という心ゆかしいことであろうか。
――朝日新聞、昭和二十九年一月十四日――
この白馬沢や白馬尻の地名と「代馬」がピッタリ合って、いかにも首尾をまっとうし、この馬が本物であることを裏書きしているのは心地よい。同時に逆に言えば、後の考えだが、裏書きというより予告しているようなもので、これらの地名から帰納して、その位置は動かないものを、どうして初めからそこに思い及ばなかったかと悔まれもするのだ。
前記の小文にも相当の反響があって、喜んだり賞めてくれたりした中に、一通の非難もまじっていた。