輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

線上閱讀中村 清太郎《ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 頁

青空文庫

流れに触れる岩石は、小さいのは巻き込み、押し流し、打ち割り、磨りつぶし、大きいのは突き当っておどり越え、はね越えるから、流れの表面は褶曲山脈さながらの凹凸だらけ、屈曲だらけだ。しかも重量が勝っているため、砕けず、散らず、勢いが強まれば強まるほど、既に固体に近くなって、轟々の響音のみが、地心にとおるかとばかり、震いうめく。

飛び行く速度の印象は、ただ辛うじて、この固体に近い大泥流の面の、目くるめくばかりな、刹那刹那の変転から得られるだけだ。その有るかと思えば無く、無いと思えば有る、といった風な、端睨をゆるさぬ、複雑かつ無数の面は、一斉に、これまた濁った低い空のほの明りを、交互に鈍く苦がく、照りかえし合っている。いつか引き込まれるように見入っている自分に、ハッと気がついた時は、顔は皺だらけになり、皷動は不規則に打って、心が重心を失ったありさまなのに、われながら驚かれる。

こんな時は、湯も見る見る水かさを増し、増すにつれてはいれなくなり、果ては浴場そのものまで、姿を消してしまうのだ。初め、濁流の余波は、防波堤を越えて打ち込んでくる。温泉の流下をさまたげて、遂に幅広い波のうねりが押し寄せる。