輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
パンドラのはこ
パンドラの匣
線上閱讀太宰 治《パンドラの匣(パンドラのはこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,644 字 · 386 頁
いまは夜の十時だが、まだ帰らぬ。事件の輪郭がほぼ、僕にもわかって来た。
四月二十四日。月曜日。
晴れ。われ、大学に幻滅せり。始業式の日から、もう、いやになっていたのだ。中学校と少しもかわらぬ。期待していた宗教的な清潔な雰囲気などは、どこにも無い。クラスには七十人くらいの学生がいて、みんな二十歳前後の青年らしいのに、智能の点に於ては、ヨダレクリ坊主のようである。ただもう、きゃあきゃあ騒いでいる。白痴ではないかと疑われるくらいである。僕のほうの中学からは、赤沢がひとり来ているだけだが、赤沢は、五年からはいって来た人だから、僕とはそんなに親しくはない。ちょと目礼を交すくらいのところである。だから僕は、クラスに於ては、全くの孤立である。白痴五十人、点取虫十人、オポチュニスト五人、暴力派五人、と僕は始業式の時に、早くもクラスの学生を分類してしまったのである。この分類は正確なところだと思う。僕の観察には、万々あやまりは無いつもりである。天才的な人間は、ひとりも見当らない。実に、がっかりした。これでは僕が、クラス一番の人物ということになるようだ。張り合いの無い事おびただしい。