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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

線上閱讀太宰 治《パンドラの匣(パンドラのはこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,644 字 · 386 頁

青空文庫

3

みんな無邪気な、いたずらっ児のように見えた。

「僕にやらせてくれませんか。」と僕は誰よりも大きい声を出してそう言った。

一時、ひっそりしたが、すぐにまた騒ぎ出した。

「出しゃばるな、出しゃばるな。」

「ひばりは、妥協の使者か。」

「桜の間は緊張が足りないぞ。いまは日本が大事な時だぞ。」

「四等国に落ちたのも知らないで、べっぴんの顔を拝んでよだれを流しているんじゃねえか。」

「なんだい、出し抜けに、何をやらせてくれと言うんだい。」

「今晩、就寝の時間までに、」と僕は、背伸びして叫んだ。「お知らせしますから、もしその僕の処置がみなさんの気に入らなかったら、その時には、みなさんの提案にしたがいます。」

又ひっそりとなった。

3

「君は、僕たちの提案に反対なのか。」と、しばらくして、青大将という眼つきの凄い三十男が僕に尋ねた。

「大賛成です。それに就いて僕に、とっても面白い計画があるんです。それを、やらせて下さい。お願いします。」

みんな少し、気抜けがしたようだった。

「よろしいですね。ありがとう。この回覧板は、晩までお借り致します。」僕は素早く部屋を出た。これでいいのだ。むずかしい事は無いんだ。