輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《上杉謙信(うえすぎけんしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 頁

青空文庫

――名に反かず、彼は、信玄から発言を求められると、ためらうことなくこういった。

「かかる無為の長陣も、毎日の御評定も、それがしには、無用と申しあぐるしかありません」

「無用とな」

「士気を倦ましめるに役立っているばかりです。御軍勢一万八千が、甲府表を打立つときは、そのまま一驀に、妻女山を揉みつぶし、一挙、越後領までも、ひた押しにせんず意気込みでした。然るに、その事もなく、いたずらに御陣を更え、敵をうかがい、謙信の心を測りなど、いつになきお迷いを示され、更に、当城へお籠りあって、かくの如き連日の御軍議に過ごされておいで遊ばす為――当然、兵は無聊に倦みかけておりまする」

この人にして、これくらいな直言がいえたといえよう。信玄はむっつりと、厚い頤を、すこし上向きにして聞いていた。

――それから?

と、次のことばを待つような顔をしていると、兵部は、なお語気をつよめていった。

「心なき物の影も、心ありげに観れば、種々に観てとれる。敵の妻女山を繞って、謙信の心を測っているのは、あたかも月夜の物影は、悉く物の怪の如く疑いあやぶむ愚にも似ておろう。それがしが観るに、謙信に策無しと存ずる。