輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《上杉謙信(うえすぎけんしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 頁
「ありがとう存じまする。……いつの間にお目にふれましたやら、果報者、おことばにあまえて」
「そちひとりは、遅れて甲府に入るも、さしつかえない。伴うてゆるりと、凱旋せよ」
大軍は、彼ひとりを残して、先へ甲府へ還って行く。
伝右衛門は、主恩に感泣しながら、ふたたび、きのうの戦場へもどった。
一夜の雨に、満地の血しおは、きれいに洗われ、数日の人気もない夜霧朝霧に、踏みしだかれた草の葉も花も、みな生き生きと、姿を擡げ直していた。
八幡原の森の外に、初鹿野伝右衛門は駒をつないだ。誰が掃き清めたのやら、神社の境内は、きれいに箒目すら見えていた。さしもの修羅狼藉のあとも掻き消され、そこに見えるのは寂とした中の蔦紅葉と杉木立の青い仄暗さだけであった。
伝右衛門は社家の裏へ歩いて行った。いつぞや水を汲んだ覚えのある井戸のそばに、禰宜の妻が嬰児のむつきを洗濯していた。
「あっ?」
何気なく振向いた禰宜の妻は、伝右衛門のすがたを見ると、すぐいつぞや激戦の恐怖を衝かれたように、濡れ手のまま跳びあがった、極度に顔いろを顫かせた。
で、伝右衛門も、物腰に気をつけながら、特にことばもやさしく訊ねた。