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せかいのいっかんとしてのにほん
世界の一環としての日本
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《世界の一環としての日本(せかいのいっかんとしてのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,338 字 · 422 頁
もし之が大体に於て本当ならば、結城財政は要するに、林首相乃至林内閣そのものが持つ経済的な意味を云い表わすに外ならぬ。そうすれば又林内閣の政治的意義は、正に、この経済的意義に基礎を置いていると云ってよいことになる。この間柄に食い違いがあるのなら、首相が蔵相に白紙一任する筈はないのだ。して見ると林内閣なるものは軍部が気に入った林大将の下に、軍部に気に入った顔振れの大臣を据えながら、実質は著しく金融資本的な内閣であることに気づくのだろう。政党人の入閣を原則として拒んだという点では、極めて反資本的(又は反地主的)であり、大いに革新的なもののように見えるが、併し中島飛行機製作所の所長や鐘紡の社長や何かが閣僚候補に上った処を見ても、この内閣の本質は寧ろ、従来よりも著しく露骨に資本家的なものなのだ。政党人の入閣に絶対反対する軍部が、軍需工業資本家や金融ブルジョアジーの技師が内閣の椅子を占めることに就いては、遂に一言の苦情も持ち出さなかった。之は何を物語るのであるか。
要点だけを誇張して云えば、恐らくこうだろう。産業資本、特に軍需工業資本家は云うまでもなく、金融資本家と雖も、例の膨大な国防予算に原則上の削減を加えるようなことは決してしないだろう。