輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《五瓣の椿(ごべんのつばき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 149,721 字 · 296 頁

青空文庫

六

「私は、私は力ずくでも止めるぞ」

「やってみて下さい、一と声叫べば女中が来るでしょう、どうせ自首するんですから、町方を呼んでもらって、あなたの眼の前でお繩にかかりますよ」

源次郎は両手をだらっと垂れた。

「力ずくで止めないんですか」とおしのは云った、そして、夜具の枕許にある釵と、紙の上にのっている花片を指さした、「――それがおしのからあなたへのかたみです、忘れずに持って帰って下さい」

そして静かに隣り座敷へ出ていった。

「おしの、それはいけない」と源次郎はしゃがれた声で呼びかけた、「そうしてはいけないよ、おしの」

だがその声は低くかすれているため、おしのには聞えなかったであろう。源次郎は恐怖そのものといった眼で、銀の釵と、山椿の血のように赤い花片をみつめていた。

六

十二月二十七日の午後。

青木千之助は八丁堀の役宅で、溜っていた書類の整理をしていた。朝からの雨が雪になるかと思ったが、寒さがきびしいばかりで雪になるようすもなく、雨落の石を打つあまだれの音が、気のめいるような陰気な調子で、低く、ゆっくりと呟いているのが聞えた。

手が凍えてきたので、筆を措き、火桶で手指を暖めていると、声をかけて、同僚の岡田朔太郎がはいって来た。