輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《五瓣の椿(ごべんのつばき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 149,721 字 · 296 頁
三
俗ににがみばしったといわれる、眉の濃い、おもながの、ひきしまった顔に微笑がうかび、たのしそうに鼻唄をうたった。にがみばしった顔が、にわかに浅薄な卑しさをあらわし、その眼はさらにけもののような貪欲な光を帯びてきた。
「踊りの品がよいとやら」と彼は常磐津節をたのしそうにうたった、「――わたしもどうか乙声の、音頭のふしが気にいって、ぞっとしんから戻りがけ」
階段を登り、さっきの座敷の前でうたい終ると、彼は障子をあけて中へはいった。若い女中が空いた燗徳利や皿小鉢を片づけてい、女の姿はみえなかった。
「身にしみじみと村雨は――」そう続けて坐りながら、彼は女中に呼びかけた、「こちらの、あれはどうしたの」
「お伴れさまですか」と女中が云った、「たったいまお帰りになりましたわ」
「か、――」男は口をあき、それから疑わしげに訊き返した、「帰ったって、ここにいた、私の、あの人がかい」
三
半刻ほど経って、男はその「花田」という料理茶屋から出た。日が昏れかかって、街には灯がつきはじめているが、空は磨いだように青ずんで高く、大川のほうから吹いて来る微風は、肌にしみとおるほど冷たかった。