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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁

青空文庫

「用人が留守だ、主人が留守だといえば、それで済むと思うてござるのか」

「何十遍、足を通わせるつもりなのだ」

「この半期の勘定だけなら、先代のごひいきもあったお屋敷ゆえ、黙っても退きさがろうが、この盆の勘定も、前の年の分も、この通りじゃわ」

と、帳面をたたいて突きつける男もある。

出入りの大工、左官、日用品の米屋、酒屋、呉服屋、それからあちこちと、清十郎が、遊興して歩きちらした茶屋小屋の勘定取。

そんなのは、まだまだ小口のほうで、弟の伝七郎が兄に計らず、勝手に現金で借りた利のたかい借財もあった。

「清十郎殿に会わせてもらいましょう。門人衆では、埒があかん」

坐りこんで、動かないものだけでも、四、五名はある。

平常、道場の会計や、また奥向きの経済のやりくりは、祇園藤次が用人役として、切り盛りしていたのであるが、そのかんじんな藤次は数日前に、旅先で寄せた金を持ったまま、「よもぎの寮」のお甲と逐電してしまった。

門人達にはどうしていいかわからない。

清十郎はただ、

「留守と申せ」

の一点張りで、奥にかくれたままでいるし、弟の伝七郎は、勿論、大晦日などという物騒な日に、家へ寄りつくはずもなかった。