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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁
五
城太郎のしがみついている馬の尻へ刃を入れてしまったのである。
五
驚き癖がついている馬である。そう深く入った刃ではないが、馬の悲鳴に似たいななきは非常なものであった。臀の傷口から血を撒いて暴れるのだった。
梅軒は、なにか意味の分らない大声をあげ、お通から自分の刀をぎ取ろうとして、彼女の手頸をつかまえかけたが、狂った馬の後脚は、その二人を刎ね飛ばして、竿立ちの姿勢になると、鼻をふるわしてまた高くいななき、そのまま弦をきって放ったように、風を起して驀しぐらに駈け出してしまう。
「わっ、や、やいっ」
馬の揚げてゆく砂塵へ向って、梅軒は突ンのめった。憤怒の勢いは駆りたてられたが、追いつけるはずは勿論ない。
そこで血眼となったすごい眸を、お通のほうへ振り向けたのであるが、お通のすがたも、途端にどこにも見あたらない。
「あっ?」
こうなると、梅軒の青すじはいよいよ、こめかみに膨れあがった。――見ると、自分の刀は道ばたの赤松の根かたに抛り出してある。飛びつくように拾いあげて、そこを覗くと、低い崖の下に農家の茅の屋根が見える。
馬に、刎ねとばされた機に、お通はそこへ転げ落ちたものと見える。