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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁

青空文庫

山川無限

一

だがほかにもう一家、伊勢桑名の太守北畠具教がある。この具教もその道においてかくれない達人であり、またよい国司でもあったらしく、

「太の御所」

といえば、彼の歿後までも伊勢の領民はなつかしいお方として、そのころの桑名の繁昌や善政を慕っている。

北畠具教は、卜伝から一の太刀というものを授けられて、卜伝の正流は東国にひろまらずに伊勢へ残った。

卜伝の子、塚原彦四郎は、父から家督はうけたが、一の太刀の秘伝を遂にゆるされなかった。そこで父の死後、彦四郎は郷里の常陸から伊勢へ赴き、具教に会ってこういった。

「私も父の卜伝より、かねて一の太刀を授かっていますが、生前父がいうには、あなた様へもご伝授してある由、同じものか、違いのあるものか、異同を較べて、お互いに極秘の道を究明してみたいと思いますが、思し召はいかがですか」

すると具教は、師の遺子である彦四郎が、技を撮りに来たものとすぐ察してはいたが、

「よろしい、お目にかけましょう」

と快諾して、一の太刀の秘術を見せた。

彦四郎はそれによって、一の太刀を写しとることができたが、要するにそれは型の真似事でしかなく、元々その器でなかったから、卜伝流はやはり伊勢のほうに広く行われ、従ってその余風からこの地方には兵法の達人上手が今でもたくさんに輩出している――