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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁

青空文庫

九

戸外ばかりでなく、壁も啼く、天井も啼く、破れ畳も啼きすだく。

「そうだ」

何か思い出したとみえる。むくりと彼は起き直った。懐中にある一個の包み――かの顎の半分ない武者修行から、死に際に頼まれて持って来た包みの中を――こうしている間に一度見ておこう。そう急に思いついたらしい。

解いてみた。――それは蘇芳染の汚れきった風呂敷だった。中から出て来たのは、洗いざらした襦袢だの普通の旅行者の持つ用具などであったが、その着がえをひろげてみると、いかにも大事そうに、油紙でくるんである巻紙大の物と路銀の金入れであろう、どさっと重い音が膝の前に落ちた。

九

むらさき革の巾着であった。その金入れの中には、金銀取交ぜてだいぶの額が入っていた、又八は数えるだけでも自分の心が怖くなって、思わず、

「これは他人の金だ」

と、殊さらにつぶやいた。

もう一つの油紙に包んであるものを開いてみると、これは一軸の巻物である。軸には花梨の木が用いてあり、表装には金襴の古裂れが使ってあって、何となく秘品の紐を解く気持を抱かせられる。

「何だろ?」

全く見当のつかない品物だった。巻を下へ置いて、端の方から徐々に繰り展げて見てゆくと――