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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
線上閱讀徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 頁
胸をさすッて、父の事を打ち明けて申しますと、気の毒と思ってくれればですが、それはもう聞きづらい恥ずかしい事を――あまり口惜しくて、情けなくて、今度ばかりは辛抱も何もない、もうもう此家にはいない、今からすぐと父のそばに行って、とそう思いましてね、姑が臥せりましたあとで、そっと着物を着かえて、悴=六つでした=がこう寝んでいます枕もとで書き置きを書いていますと、悴が夢でも見たのですか、眠ったまま右の手を伸ばして「母さま、行っちゃいやよ」と申すのですよ。その日小石川にまいる時置いて行ったのですから、その夢を見たのでしょうが、びっくりしてじっとその寝顔を見ていますと、その顔が良人の顔そのままになって、私は筆を落として泣いていました。そうすると、まあどうして思い出したのでございますか、まだ子供の時分にね、寝物語に母から聞いた嫁姑の話、あの話がこうふと心に浮かみましてね、ああ私一人の辛抱で何も無事に治まることと、そうおもい直しましてね――あなた、御退屈でしょう?」
身にしみて聴ける浪子は、答うるまでもなくただ涙の顔を上げつ。幾が新たにくめる茶をすすりて、老婦人は再び談緒をつぎぬ。