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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

線上閱讀徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 頁

青空文庫

四の二

もとよりこの後のいかに成り行くべきを知らず、よしこの疾痊ゆとも一たび絶えし縁は再びつなぐ時なかるべきを感ぜざるにあらざるも、なお二人が心は冥々の間に通いて、この愛をば何人もつんざくあたわじと心に謂いて、ひそかに自ら慰めけるなり。

されば父の愛と、このほのかなる望みとは、手を尽くしたる名医の治療と相待ちて、消えんとしたる彼女が玉の緒を一たびつなぎ留め、九月初旬より浪子は幾と看護婦を伴のうて再び逗子の別墅に病を養えるなりき。

四の二

逗子に来てよりは、症やや快く、あたりの静かなるに、心も少しは静まりぬ。海の音遠き午後、湯上がりの体を安楽椅子に倚せて、鳥の音の清きを聞きつつうっとりとしてあれば、さながら去にし春のころここにありける時の心地して、今にも良人の横須賀より来たり訪わん思いもせらるるなりけり。

別墅の生活は、去る四五月のころに異ならず。幾と看護婦を相手に、日課は服薬運動の時間を違えず、体温を検し、定められたる摂生法を守るほかは、せめての心やりに歌詠み秋草を活けなどして過ごせるなり。週に一二回、医は東京より来たり見舞いぬ。月に両三日、あるいは伯母、あるいは千鶴子、まれに継母も来たり見舞いぬ。