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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
線上閱讀徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 頁
十の二
「お豊どんが嫁に?――それはまあ――そして先方は?」
「先方は法学士で、目下農商務省の○○課長をいたしておる男で、ご存じでございましょうか、○○と申します人でございまして、千々岩さんなどももと世話に――や、千々岩さんと申しますと、誠にお気の毒な、まだ若いお方を、残念でございました」
一点の翳未亡人の額をかすめつ。
「戦争はいやなもんでごあんすの、山木さん。――そいでその婚礼は何日?」
「取り急ぎまして明後々日に定めましてございますが――御隠居様、どうかひとつ御来駕くださいますように、――川島様の御隠居様がおすわり遊ばしておいで遊ばすと申しますれば、へへへ手前どもの鼻も高うございますわけで、――どうかぜひ――家内も出ますはずでございますが、その、取り込んでいますので――武――若旦那様もどうか――」
未亡人はうなずきつ。おりから五点をうつ床上の置き時計を顧みて、
「おおもう五時じゃ、日が短いな。武はどうしつろ?」
十の二
白菊を手にさげし海軍士官、青山南町の方より共同墓地に入り来たりぬ。
あたかも新嘗祭の空青々と晴れて、午後の日光は墓地に満ちたり。秋はここにも紅に照れる桜の葉はらりと落ちて、仕切りの籬に咲む茶山花の香ほのかに、線香の煙立ち上るあたりには小鳥の声幽に聞こえぬ。