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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

「ところでご一同」

と、或る日、呉用が提案した。

「こう、さまざまな人物、それぞれな技能の持主が、しぜん群星の如く集まったからには、梁山泊をよく保つため、上下の序、礼の順を、厳しく立てねばなりますまい。……まずは、宋公明その人こそ、われら梁党の上に仰ぐ、主座第一のお人たるべき者ではないか」

ほとんど一人の異議もなく、双手をあげて、

「そうだ、ぜひそう願いたい」

と一同、宋江を繞って言った。

「とんでもない」

宋江はかたく辞退した。

「わたくしは、諸兄のために、からくも一命を助けられ、ただ恩に浴して、そのうえ徒食しているに過ぎぬ者、どうかあるじの座には、晁蓋大人をすえて下さい。わたくし如きは、到底その任ではない」

とばかり、何と一同が推しても、ききいれる色はなかった。

「では」

と統領の座には、結局、晁蓋が坐った。――そして二位に宋江、三位に軍師呉用、四位公孫勝と、すらすら衆議がすすんだので、宋江もついそこまでは否みかねて、受けてしまった。

そもそも、宋江はこんなつもりではない。

彼は漢を愛し、世を憂い、轗軻不遇な人間たちに、ふかく同情はしていたが、かりそめにも賊の仲間入りしようなどとは、ゆめにも思っていなかった。