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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

「やいやい捕手。後生だから、俺にも一杯のませてくれ。こうしているから、この口へ、一杯流し込んでくれ」

それは朱富の方へ言ったのだった。朱貴は見えないが、朱富がいる以上、何らかの計で、自分を助けてくれるつもりだろうと、暗に、反語をわめいてみたのである。

「ふざけるなッ極悪人め。飲みたければ、てめえにはあとで、溝の孑孑でも飲ましてやるから静かにしていろ」

朱富はわざと罵声を投げた。それを聞くと、兵どもはゲラゲラ笑って、口々の呶罵を肴にまた飲んだ。李雲が、列へもどれ、と命じてもなかなか酒瓶の周りを離れようとはしない。

するうちに、一人の兵が「あッ、野郎っ」と街路樹の蔭で絶叫した。いや、とたんに仆れていた。振り向いた大勢の眼もすべて一瞬「――あっ?」といっただけで、あとは異様な静寂がみなぎり渡っていた。――なぜなら、李逵のそばへ寄って行った一人の男が、彼の縄目を解き、その手へ野太刀をわたしていたのである。これは猛虎の檻を開けてやったようなもの。さらにはまた、野太刀を抜いた猛虎も、男とともに、のっそり、のっそりこっちへ歩き出している。

「朱富。行こうか」

李逵の縄を解いた男は、朱貴であった。