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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

「だが子供の頃から騎馬短槍には熟練なすっておいでとか。さいぜんも篤と拝見していたが、あれほどな腕前がおありなら、官途に志願しても」

「いや、そいつがですね、持ち前、いッち嫌いなんですよ」

「どうしてです」

「朝廷はでたらめ。政閣は奸臣の巣。ここら薊州あたりの安軍人までが、あんなざまじゃございませんか。私みたいな凡くらでさえ、何クソっていう気が底にありますからね」

「同感だ。いや全くそのとおり。しかし、そうばかりでもない天地もある。たとえば山東の梁山泊とやらいう男の集まりもあるしさ」

「失礼ですが、あなた、お名前は」

「ここに連れているのは弟分の楊林。そして拙者は……苗字が戴、名は宗」

「えっ、じゃあもと江州の戴院長、あの有名な神行太保の戴宗さんは、あなたなんで?」

「叱っ」

と戴宗は振り向いた。そのとき酒屋のかどから二十人余りの人間が、どやどやとここへ混み入りかけて来たからだった。しかも捕手目明し態の者ばかりである。彼は慌てて銀子十両を取出して、薪木売りの手に握らせた。

「お若いの、いつかまた会おう……少ないが当座のしのぎに」

「と、とんでもない。こんなものを」

しかし、袂をつかむ瞬間もなかった。