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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 頁

青空文庫

もちろん勧降状である。

すると、城中からは、すぐ返書が来た。――芳札披閲ソノ意ヲ得候――という起筆から堂々とした文面で、終りには、

当籠城ノ衆ハ、一旦身命ヲ、勝頼方ヘ武恩トシテ報イ居リ候ヘバ、臆病ナル輩ニハ準ズベカラズ、早々御馬ヲ寄セラル可候。信玄以来、鍛練ノ武勇手柄ノ程、御目ニ懸ケ可候。恐々謹言

と、墨匂わしく覚悟のほどが答えてあった。

信長の命をうけている中将信忠である。しかも若い。

「よしッ、その分ならば」

と、強襲を命じた。

搦手之口、大手之口から、寄手はふた手にわかれて城へ攻めかかった。

初めてここに、戦らしい戦が見られた。仁科信盛以下、城兵一千余は、もちろん死を期してのことだ。さすがに甲州武者の武勇はまだ廃っていない。

二月から三月初めにかけて、高遠城の石垣は、攻守両軍の兵がながす碧血に塗られた。濠際半町を隔てて結い廻してあった第一柵も突破され、濠も石や草や土木に埋められ、寄手は駈け渡って来て、敏捷に石垣の下にへばりつく。

「うぬ」

「来てみろ」

上の土壁や築土越しに、恐ろしい敵の目が無数に覗き下ろす。そして槍を出す、岩石を落す、油をぶっかける、材木を転がして来る。