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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 頁
……おお。小袖の焼け布が落ちている。弓の折れも見える」
と、其処此処を見まわしなどして、うたた感慨にとらわれていた。
しかし彼が軍を駐めて、ここへ立ち寄ったのは、この日さらに、蹴上を進んで、大津にまで出る行軍の途中であった。
ゆうべ勝龍寺から直接立った秀政の隊は、すでに、今朝あたり、近江辺まで突出していたであろう。そのほか、昨夜以来の配置によって、醍醐、山科、逢坂、吉田、白河、二条、七条、洛の内外いたるところも、秀吉指揮下の隊が部署についていない方面はない。
今朝は、陽の色までが、何となく爽けく違って来たように仰がれた。
(妙心寺から大勢曳き出されたそうな)
(嵯峨でも捕まったという)
(本阿弥の辻で斬られるのを見て来た……)
町々の噂は、残党狩りで持ちきっていた。山崎から逃げ込んだ落武者や、ここの治安に当っていた明智方の兵は、ほとんどひとりも余さず捕斬された。
さきに二条城の戦いで負傷し、のちに知恩院に入って療養していた明智光忠も、この朝、
(はや秀吉の馬じるしが京都に入ってきました)
と侍臣に聞くと、すぐ一室を閉じて自刃してしまった。数名の家臣もみな殉じた。