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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
弟の安政から顛末を聞いて、佐久間玄蕃允はこう苦りきったものだった。事前には、あれほど手を尽して将監の内応を誘致しておきながら、思惑のつぼが外れたとなると、まるで厄介者を遇するような口吻に一変していた。
将監たちは、下へもおかぬ優遇を夢みていた。が、玄蕃允の態度にまず大きく失望した。――けれど、落度も省みて、胸を撫でていた。そしてその落度を償うて余りある重大な機密を、北ノ庄殿に会って、直接告げたいという希望をのべた。
「ふム。それや耳寄りな」
と玄蕃允は、やや機嫌を直したが、大金と木下には依然、膠もなく、
「お身どもは、当所に控えておれ。御本陣へは、将監一名だけを伴うであろう」
と、その朝、直ちに中尾山へ出向いた。
今暁、十三日の出来事は、はや詳細に、そのいきさつまで、勝家の耳にとどいていた。
程なくこれへ、玄蕃允が山路将監を伴うて来るとのことに、彼は、将座厳かに待ち構えた。何事につけ、威儀張る人である。これは彼として何の不自然でもないが、やがて将監が帷幕に伺候し、一応の挨拶などあってから、
「将監。このたびは、不出来だったのう」
と、本音を吐いたときの顔つきは、ひどく複雑だった。