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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
「お客の方にも、馬をあげろ」
忽ち、三頭の馬が曳かれ、使者たち各※(二の字点、1-2-22)の前に鞍をすすめた。普請中の大手の道を、秀吉と三使の姿が駒をならべて降りて行った。城下の辻へ来ると、利家がたずねた。
「筑前。きょうは、どちらか」
「常のように、京都へまいる」
「では、ここでお別れいたそう。われらはまだ宿所に寄って、旅装をととのえねばならぬゆえ」
「いや、伊賀どのの病気をちょっと見舞うてやろう」
秀吉がふいにそこを訪れたので、家臣の富田左近将監もあわてたが、一室にやすんでいた柴田勝豊は殊のほか驚いて、急いで病床から出ようとした。
秀吉は早やその室へ来て坐っていた。そのままそのままと、勝豊の起き上がるのを止めて、
「御容体は、どうじゃな」
と、先ずたずね、
「それ程な病を押して、寒さもいとわず、長浜からこれまで来らるるなど、自体御無理であったのじゃろ。しかしお許の真心はむだではない。その熱意を見たればこそ、筑前も大いに心をうごかされたことでおざった。何も申さず和談にもお応えしたのじゃった」
「ありがとうございました」
勝豊は感泣した。
昨夜の宴を断り、今朝の答礼も欠き、使者の中に加わって来たことも、名目に過ぎないかたちになり終って、心から相すまぬと、慚愧している者にたいして――秀吉がいってくれたことばは余りに温かい