輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁

青空文庫

九ノ四

恐る恐る下を覗き見ると、もう地面は間近かに迫って、畑の中の一本松が、まるで沼の中の藻草のように、くねくねとゆらぎながら、伸上って来るのだった。

九ノ四

黒吉が地面へ下り立つと、所員達は心配そうな顔をして駈寄って来たけれど、彼は、黙って松葉杖を受取ると、それらの人々を振切るようにして、あてもない広い飛行場を、ピョコリピョコリと歩き出した。

頭の中は、あの「幻の中の娘」に占領されていた。

(誰――だろう)

「あッ!」

彼はギクン、と立止った。

(あの、あの葉ちゃんではないか――)

「そうだ、葉ちゃんだ、確かに葉ちゃんだ……」

あの虹の中の「葉ちゃん」はハッキリは見えなかったけれど、どうやら結綿を結っていたようだ――。

(何故だろう)

行く手きわまりない飛行場のように、大きな疑問だった。

(あまり、葉ちゃんのことばかり、考えていたせいかな……)

それにしても、葉子が、かつて結ったこともない「ゆいわた姿」なぞ、なぜあの幻の中に見えたのであろう。

(空を飛ぶ時の夢は、予言の夢だ――そうすると、近く結綿姿の葉ちゃんに、逢うのじゃないだろうか)

黒吉は、はっと顔を上げて、蒼空を睨んだ。