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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

線上閱讀蘭 郁二郎《火星の魔術師(かせいのまじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,120 字 · 302 頁

青空文庫

七ノ三

――周章て含んだ苦い酒が、咽喉でコロコロと鳴った。

(どっちが本当なんだ……)

(夢を見てるんじゃないか……)

簡単な疑問に、ハタと行詰った。

トテモ、とてもたまらない――。黒吉は、夢中で、神経を酒びたしにしようと焦慮った……。

七ノ三

黒吉は、空を飛ぶことに、始めて恐怖を味わった。と同時に、何か得体の知れぬ魅惑をも感じた。

しかし、次に見た「予言の夢」は、不吉にも、この一座が不入りを極めた夢だった。

しかも、それがピッタリと、陰画から焼付られた陽画のように一分一厘の違いもないのだ。まるで座員の方が多いほどの、見物人しか呼ぶことが出来なかった。

黒吉は、空を飛ぶ時、手を握り締め、歯を喰いしばり、必死の力で飛ぶのだ。

(なんとかして、も一度あてたいもんだ)

だが、――一体どうしたというのだ。「予言の夢」は、もう幸福を知らせてはくれないのだ。

(先きのことを、覗いたせいかな)

黒吉は頭を振った。

(それにしたって、俺の知ったこっちゃない)

彼は、癖で、無意識に肩を聳かした。

「こんなことが続いたら解散だ!」

親方は尚一層、気六ヶ敷くなった。

葉子も、由子も、義公も、仙次も、誰も彼も、暗い翳を感じながら、言葉数を減らして行った。