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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 188,242 字 · 380 頁
二
どうしたんだろう?」
「うん」と答える声がした。「さすがの火柱も疲労れたかな」
「そんなことはあるまい。今に出よう」
「今夜こそどうともして捕えたいものだ」
ここで話が断ち切られた。
いったい二人は何者だろう? 蜈蚣衆の忍術家、一人は琢磨小次郎であり、一人は茣座右門らしい。
二
闇とは云っても星空であった。その薄明を背景にして、不意に内藤家の屋根棟へ、黒々と人の姿が立った。城下の様子を眺めようと、琢磨小次郎が立ち上がったらしい。
屋根から見下した甲府の城下の、所々に桃色の火気が、闇を貫いて立っているのは、癩人が焚火をしているからであろう。そこから騒音の聞こえるのは、彼らの囁きに相違ない。
内藤屋敷と並び合い、板垣駿河守の屋敷があった。その隣りが勘解由小路、小路を隔てて神明の社、その社の広庭にも、焚火が赤々と燃えていた。立ったり座ったり這い廻わったり、陰影のような人影が、火光に照らされて見えるのは、癩人がそこにもいるからであろう。しばらく眺めていた小次郎は、やがて西の方を振り返って見た。眼の前に大館が立っていた。すなわち三枝勘解由の屋敷で、グルリと取り廻わしたは高い土塀、その土塀の東南の角へ、ボッと火光が射したかと思うと、ユラユラと一本の火柱が、土塀に添って北の方へ、蠢めくように歩いて来た。