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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《神州纐纈城(しんしゅうこうけつじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 188,242 字 · 380 頁

青空文庫

第十三回

一

船は湖水から大河へ出た。河はゆるやかに流れていた。

どこまで流れて行くのだろう? 他の大河へ合するのであろうか? それとも海へ入るのであろうか? それとも地軸へ落ち込むのであろうか?

富士の岩根を貫き流れる、名のない大河は名のないように、どこへ向かって流れるものか、今日も尚解らないのであった。

それは末無しの河なのであった。恐らくきっと地表の外へ、突然消えてしまうのであろう。

船は顫えながら流れて行った。

もう夜光虫はいなかった。水路は文字通り闇であった。

水音が次第に高くなった。

救いの道は絶えてしまった。

船は急速に流れ出した。

第十三回

一

船は駸々と流れて行った。

船の中では庄三郎が、まだ気絶から蘇生なかった。

水路は文字通り闇であった。水の音ばかりが響いていた。

富士胎内のことであった。水路の上や水路の左右は、恐らく岩か土なのであろう。そうして恐らく草木などは、一本も生えてはいないだろう。そうしてもちろん水路には一匹の魚さえ住んではいまい。水草もないに相違ない。生命ある物は一つもあるまい。水! それは流れていた! では水だけが生きていると云える。