輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《花も刀も(はなもかたなも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 頁

青空文庫

「それで――」

「そういうわけで、まだはいったばかりでもあるし、稽古をぬけるわけにはゆかないだろうし、彼もちょっと困ると思うんです」

「でも――ほかのことではなく父が死んだのですから」

かやは平八を縋るように見た。

平八は頷いた。慥かにそのとおりである、だが平手の帰国が許されるとは思えない。伊達家ではおそらく他から人を雇うだろう。扶持を与え始めてから一と月そこそこだし、稽古をやめて待つほどの好意をもつまい。おまけに人は余っている。伊達ほどの大藩が求めるといえば、いくらでも即座に集まるに相違ない――平八はこう思った。

「とにかく」と、彼は云った、「下屋敷は品川のさきで遠すぎますから、私がいって平手に話すことにしましょう」

「わたくしでは、いけないのでしょうか」

「ところが遠すぎるし、話の都合で平手を伴れて来ます、そのほうが好便ですから」

平八はそう云うと、すぐに座を立った。

彼は親類の者が来たからといって、外出の許しを乞い、かやといっしょに道場を出た。

四辻のところまで、駕籠をひろいにゆく途中、かやは平八の足を見て「どうなすったのか」ときいた。そのときの気遣わしげな眼の色と、いかにもいたわしそうな表情とは、平八の心に強くあたたかく、そして深い印象を与えた。