輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《花も刀も(はなもかたなも)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 頁

青空文庫

新粧

一

お豊は静かに泣きだした。

幹太郎は彼女からはなれ「三人で立直ろう」といった。

「私もしっかりやる、おまえも女ひととおりの稽古事を始めようし、幸坊も世間なみの子供らしく育てよう、わかるな」

闇の中で顔は見えなかった。しかし、幹太郎は手さぐりでお豊の手を握った。――お豊はあまく、酔ったように、忍び泣いていた。

新粧

一

三月中旬の或日――

淵辺道場の秋田平八のところへ女の客が訪ねて来た。

「会えばわかるといって、名前を云わないんです」

少年の村上小次郎がにやにやしながら云った、「どうなさいますか」

「だらしのない顔をするな、口をむすべ」

と、平八は叱った。

――お豊だな。

彼はそう思った。訪ねて来て名を告げない、しかし女客とすれば、ほかに思い当る者はなかった。彼は「内接待へとおしておけ」と云い、やりかけの事務を続けた。

この道場で『内接待』というのは、門人たち用の客間のことで、脇玄関のすぐ次にあった。

事務にひと区切りつけて、平八がその座敷へはいってゆくと、旅姿の娘が一人、脇に小さな荷包を置いて坐っていた。

「私がおたずねの秋田平八です」と彼は坐って云った。

見知らぬ娘は顔をあげた。