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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
経た伝聞であり、また、筆者の感情や創意も加わったものである。ただ一つ確かなのは、前月十五日の夜が月蝕であったので、その暦数から、合戦当日の潮流の干満時刻が、科学的に算出できることだけである。義経、知盛の両将のかけひきなども、つまりそれを基標として立てたぼくの創意にほかならない。そのほか、安徳帝の入水非入水説、一門の生死についても、諸説ふんぷんだが、ぼくはぼくの「新・平家物語」を書くものであり、また後世にはたれかがたれかの新々平家物語を書き、より以上な観方もすることであろうと思う。(三一・一・一)
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先ごろの「新・平家展」は日延べまでしたが、いまだに見損ったことを悔んでいる人も多い。延べ三十万人の参観者はあったろうといわれている。ちょうど、この前回の平ノ宗盛父子が近江篠原で処刑される辺を書いていたころなので、会場に出ていたあの筆太な宗盛の書簡の前に、私は長いこと佇立した。いかにも宗盛らしい人柄が文字に出ていた。けわしい世潮にはとても抗しえない凡庸な大将だった反面、彼の人の好さや風貌までがうかがわれるものだった。ああいう人の死を描くのは小説の上でも、いかにも生々しくて辛い気がする。