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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

つい自分のことばかりいってしまった。ぼくのほんとの希いは、こんなことにあるのではない。ぼくは自分が高い文学者でありたいなどと思ったことはない。ぼくの机は庶民の中にあるものだ。庶民なみの一市民であればたくさんである。そして希うところは、この仕事が、この書の一冊ずつが、読者の何かになって欲しいことだ。読者にとって、せめて、読んでむだでなかったという書物ではありたいと思う。

Y社の文化欄に、ぼくの「歴史小説観」を求められたが、問題が大きいので、わずか四枚では書けもしない、と終わりに書いた。じっさい、その中の一項目でも、みな一課題として、考えられることばかりだ。

たとえば。――なぜ進歩的な科学社会に、このごろのように古典が求められたりするか。

また、現代人はここ十数年の烈しい歴史の中を生き通って来たために、歴史の表裏を、眼にも見、身ぢかにも体験してきた。その結果よく「本当の歴史はわからない」という懐疑に陥ちている。では、かつての歴史はどうなのか?

それから、幾世代にもわたる史界の権威が、決定づけてきた研究の結晶と、学界の累積とは、そのままで、歴史としての、これからの使命を、国民の中に、よく生かされてゆくだろうか。