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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

の屋並や交通路などを、いまの神戸市の上においてみる。

史家にいわせると、清盛は神戸の恩人といってよいという。清盛が手がけた経ヶ島から旧兵庫が生まれ、彼の別荘であり政庁であった雪見ノ御所から、山地や田園が都会化したのである。それは清盛の太政大臣任官の平家全盛期十余年間に顕著だった事蹟であるが、もっと若いころから、清盛と神戸とは、非常な親しみがあったといえよう。それは、彼の父忠盛の所領も、また、みな播磨だの安芸だの備後だの、ほとんど、西国の海道にあったからだ。当然、清盛はこの辺を旅行者としてよく歩いたことだろう。

その清盛が、海外貿易に熱心で、宋船との交渉地を、早くからこの神戸においたのもおもしろい。

雪見ノ御所を中心とし、宗盛、頼盛、教盛、重衡など、彼の一門一族はみなここの傾斜地に門をならべた。福原の都市設計は、その規模では、京都より小さかったが、そのころの風光は、京都の比ではなかったろう。もちろん、清盛の構想は、花鳥風月にあるのではない。対源氏勢力、また多分に、政治的意味があった。

興味ふかいのは、そのころの貨殖家で、平家の御用商人だった五条ノ邦綱のやしき跡も、古図に分かっていることだ。