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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
彼はわざわざ息子の重盛に左大将を退かせ、右大将宗盛の上に、実定を新任の左大将として据えたのであった。
ずいぶん同情をしてしまったものである。余りに情にもろい彼の単純さに、わけ知りの公卿輩はあきれたということだ。この清盛と、後白河とでは、まるで性格の基調がちがう。
すでに清盛も逝き、平家一門も西海へ奔る日となって、都には、木曾義仲がはいり、義仲は法皇に謁を賜わって、平家追討の院宣をうけた。ところが、たれか知らん、しかも同日、法皇は鎌倉にある頼朝にも優詔を与えて、これをお召しになっておられたのである。
後に、源氏が源氏と戦い、骨肉同士の血みどろを繰返したのも、これなど端緒の一つといってよい。
また。――義経、範頼たちが、一ノ谷へ急襲するため、京都を立つさい、法皇は、源氏が総攻撃にかかる前日、わざと修理大夫親信から書面を平ノ宗盛へ送らせ、「必ず、院宣使の下向により、両軍の和平を議せしめるであろう」といわせている。そして実際には、院中の反平氏派を左右において義経の源氏軍を、さかんに鼓舞しておられたのである。
一ノ谷の平家敗戦は、じつに脆い。義経の用兵の妙や坂東武者の新鮮な闘志は、いうまでもなく、時代の先駆というにふさわしいものであったが、それにしても、あんな敗け方はあり得ないはずだ。