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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
宮島の巻
顔の白さも妙に白い。眼をふさいでもしばらく白い。
翌朝もまだ、そぼ降り気味。十時、駅へ行く。汽車の窓で晴れてくる。
車中で、宿の弁当を食う。少年の日の味を噛みしめる。
宮島口で降りる予定なので、そろそろ皆の手が網棚へのび始める。窓外に、雨後の湖のような内海の色が望まれ出す。そのとき車内なんとなく騒めくので、ふと、人々の見る方を求めると、厳島へかけて、あざらかな虹が空にかかっていた。虹に見入る大人の顔は子供に近くなっている。平家納経の扉絵か、扇面古写経の中の人々のように、一とき現代の顔もみななごやかで美しい。(二六・七・二二)
宮島の巻
書斎人には、寝足が多い。ネコ足ともいうそうだ。あたまは輪転機のように、足はいつも達磨さんである。だが、この半月の旅行で、ぼくはだいぶ健脚になったらしい。――たとえば今、宮島口駅の改札を出たとたんに、かなたの桟橋には、連絡汽艇が出かけている。
「それっ」というので「おウいっ、待てようっ」と呼ばわる無尽会社社長のHさんに駆けつづいて行く。悟空子、Oさん、健吉さん、嘉治さんなど、みな駆け出す。それに伍して、ぼくも決して負けないのである。