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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
去年の年末炭鉱ストによる長期な電力マヒは、記憶も新しいから、たれも忘れていまいが、この旅行前後の、二十六年十月中の渇水停電も、ひどかったものである。
出発前から、旅行中も、全然、雨なしだった。
飯盛山から猪苗代湖へ急ぐぼくら二台の車も、ばくばくと、ほこりをかぶりあって行く。運転手君のはなしによると、猪苗代湖発電のお膝下にある若松市でさえ、ロウソクの値上がりやら、このごろでは、明治時代のランプを探し出して、それが、さかんに売り買いされているという。
こんな話が出たのは、金堀村、強清水村と、うねり登ってゆく途中で、縄でからげたランプを両手に下げてゆく工員風な人を見かけたことからであった。
やがて、戸ノ口に着き、湖畔に立つと、みな「なるほど、これはひどい」と、異口同音にいったものである。
湖景の清明と雄大には、いっこう、さしつかえないが、水位はゲッソリ減って、標示計によると、大正何年以来という減水度である。常には見せない、長汀幾キロが、干潟を陽の目にあらわし、こうお腹が減ったんでは、見すべからざる神秘の肌だって、人目に曝さねばなりません、とちまたに抗議している西独や日本の夜の女なみに、この大自然嬢も、おなじ生態を語っているようである。