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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
会下山展望
また、義経、範頼たちの源軍が、生田川や鵯越えから、なだれ入った当時も、なおカムベの民は住んでいたろうし、社の酒庫にもいくらかの酒瓶は残されていたのではあるまいか。
生田ノ森の梅花を箙にさして奮戦したという梶原源太景季のような武者たちが、戦いも終わった夕べ、カムベの民の献酒をどんな風に飲んだであろうか。酒徒ならぬぼくにも、連想の興味は尽きない。
車へもどって、すぐそこから市の北陵にある会下山へ急ぐ。
「会下山に立ってみるのが、いちばん要領を得られるでしょう。生田方面も鵯越えも、そして輪田岬から一ノ谷、須磨辺まで、一望ですから」と、これはもうぼくの意気地のない足つきを見て察しられた川辺氏の懇切なおすすめだった。(二九・七・一一)
会下山展望
いつも山陽線の列車では見つけているが、車窓から望むと、会下山も再度山も鉢伏も鷹取山もみんな一連の神戸市背後の屏風としか見えない。
けれど、会下山に立ってみると、独立した市街中の一丘陵であることが分かる。西北から東北のふところには、長田や夢野の町屋根がなお奥深く見渡され、鵯越えは、この丘の真正面に、指すことができるのだった。