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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

時の勢いを借りた武権による欲望のあらわれ方などは、古今、余り違わないもののようだ。時経て、過去の夢となり、人間業のうたかたとなった後、それを振返ると、義仲的な驕慢にも一抹の稚気のあわれさは覚えさせられる。

「新・平家」の上で、まもなく、木曾殿に代って、洛中諸民の注視と公卿眼の中に立つ新人義経は、ぼくの宿題でもあるが、むずかしいのは、頼朝の方だと思う。義経はまだしも描けば描ける。頼朝は、単なる描写では浮彫りにできない。大きくて常に後方に在るからである。

たとえば義仲が北陸を定め、都から平家を追い出し、やたらに院中や民衆の間に武威を張るなど、それらの前駆的な振舞いは、じつは皆、頼朝のためにやっている下仕事に過ぎず、頼朝はなお鎌倉にいて「やらせておけ」と見ているだけの男であった。

こういう異母兄を持ち、この兄にとって、最大な長所を備えて生まれた義経は、宿命といえば宿命、彼も頼朝のために、一ノ谷、屋島、壇ノ浦までも、先駆を勤めなければならなくなる。けれど、義経のばあいは、義仲とはその性格も正反対で、先駆者振りもべつなものだし、彼は彼の人生を創ってもいた。恋一つでも、義仲と義経とはまるで女性観が違っている。