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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
大観すると、時の氏神は、どうしても、後白河法皇である。義仲といえ、頼朝、義経といえ、いわばワキ役でしかない。けれど平家物語は政治小説ではないから、物語構成上の主要人物は、かつては清盛、頼朝、そして義仲となり、次いで義経と、時の推移と共に立役も代ってゆく。「この小説には小説的約束の主人公はない。しいていうならば主人公は“時の流れ”である」と、起稿のさい書いた作者のことばを、もいちど思い出していただきたい。
公卿日記のどれにも、この年の秋ごろからボツボツ「頼朝ノ舎弟九郎ナル者」という記事が見え出しているが、「――ソノ何者ナルヤヲ知ラズ」とみないっている。源九郎義経の存在も、中央ではまだ、まったく無名だったらしい。
反対に、義仲の名は、かれらの間を震駭し、玉葉の日々の記事なども、ここ二た月程は、義仲日誌みたいである。彼の一挙一動が、公卿個人の日記にまで反映しているのだ。だが、ほとんど同情的ではない。いつの時代でも、武力への批判はきびしいものだった。義仲の武力と、義経の武力との相違は、やがて歴史が答えてくる。
日本はせまく、家と家、血と血のつながりもじつに濃い。