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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
芭蕉は義仲をどう見たか
余談のまた余談にわたるが。
古語の“女房”という語意は、女の住む室という総称である。この語には多分に一夫多妻制のにおいがありはしまいか。たとえば、義仲の女房といっても巴だけのことではない。院の女房、公卿の女房、みな広い意味のもので、女官とか側女までをふくんでいる。またその女房に対して、“男房”という言葉もあったが、これはいつのまにか廃れてしまい、女房の称だけが、妻の代名詞からやがてその純名詞にまでなってしまった。世の男房どもがよく「わが家の女房は」なんていうと、どこの細君たちも甘くなってよろこんでいらっしゃるが、女権の歴史からいうと、余り名誉のある語源ではない。
芭蕉は義仲をどう見たか
晩年の巴が、義仲の命日には、年ごとに近江の義仲寺へ詣でたという地方伝説は、無邪気な牽強付会というものである。
粟津の義仲寺は、すぐその隣に、俳人芭蕉が幻住庵を結んだことやら、また、
木曾殿と背なか合せの寒さかな
という句などで有名である。この句は又玄の句を誤り伝えたものという。
けれど、足利中期までは、弔う人もない所であったらしい。堂が建てられたのは天文年間で、近江の国司佐々木高頼が寄進したのが始めだという。