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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《あらくれ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,451 字 · 236 頁
四十九
柱の状挿には、主に東京から入って来る手紙や電報が、夥しく挿まれてあった。米屋町の旦那のような風をしたその主人を、お島は不思議そうに眺めていた。
「ここの庭さ、己が手を入れたというのは……」壮太郎は飛石伝いに、築山がかりの庭へ出てゆくと、お島に話しかけたが、そこから上へ登ってゆくと、小さい公園ほどの広々した土地が、目の前に展けた。
「へえ、こんな暮しをしている人があるんですかね」
お島はそこから、築山のかかりや、家建の工合を見下しながら呟いた。
「ここへみっしり木を入れて、この町の公園にしようてえのが、あの人の企劃なんだがね。金のかかる仕事だから、少し景気が直ってからでないと……」
兄はそう言って、子供のためのグラウンドのような場所の周にある、木陰のベンチに腰をおろして、莨をふかしはじめた。
四十九
直にお島は、ここの主人や上さんや、子供達とも懇意になったが、来た時から目についた、通りの方の浜屋と云う旅館の人達とも親しくなった。
旅館の方には、お島より二つ年下の娘の外に、里から来ている女中が三人ほどいたが、始終帳場に坐っている、色の小白い面長な優男が、そこの主人であった。