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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《あらくれ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,451 字 · 236 頁
九十三
「それに私はこの体です。とてもお父さんの面倒はみられませんよ」
九十三
「そんな事を言ってもいいのか」
そう言って極つけそうな目をして、小野田は疳癪が募って来るとき、いつもするように口髭の毛根を引張っていたが、調子づいて父親を待していた彼女に寝込まれたことが、自分にも物足りなかった。
お島は煩そうに顔を顰めていたが、小野田が悄々降りていったあとでも、取つき身上の苦しさと、自分の心持については、何も知ってくれないような父親の挙動が腹立しかった。自分にどんな腕と気前とがあるかを見せようとでもするように、紛らされていた利己的な思念が、心の底からむくれ出して来るように感じて、我儘な涙が湧立って来た。
お島がじっと寝てもいられないような気がして、下へ降りて行ったとき、父親はもう酒をはじめていた。小野田も興がなさそうに傍に坐っていた。
「どうもすみません」
お島は何もない餉台の前に坐っている父親の傍へ来て、やっぱり顔を顰めていた。
「私はこの病気が起ると、もうどうすることも出来ないんです。それに家も、これから夏は閑ですから、お待しをしようと思っても、そうそうは為きれないんです」