輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《あらくれ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,451 字 · 236 頁

青空文庫

二十六

目からぽろぽろ涙が流れて、抑えきれない悲しみが、遣瀬なく涌立って来た。

「手前」とか、「くたばってしまえ」とか、「親不孝」とか、「鬼婆」とか、「子殺し」とか云うような有りたけの暴言が、激しきった二人の無思慮な口から、連に迸り出た。

そんな争いの後に、お島は言葉巧な青柳につれられて、また悄々と家を出て行ったのであった。

二十六

その晩は月は何処の森の端にも見えなかった。深く澄わたった大気の底に、銀梨地のような星影がちらちらして、水藻のような蒼い濛靄が、一面に地上から這のぼっていた。思いがけない足下に、濃い霧を立てて流れる水の音が、ちょろちょろと聞えたりした。お島はこの二三日、気が狂ったような心持で、有らん限りの力を振絞って、母親と闘って来た自分が、不思議なように考えられた。時々顔を上げて、彼女は太息を洩した。道が人気の絶えた薄暗い木立際へ入ったり、線路ぞいの高い土堤の上へ出たりした。底にはレールがきらきらと光って、虫が芝生に途断れ途断れに啼立っていた。青柳がいなければ、お島はそこに疲れた体を投出して、独で何時までも心の限り泣いていたいとも考えた。

けれどお島は、長く青柳と一緒に歩いてもいなかった。