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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《あらくれ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,451 字 · 236 頁

青空文庫

十四

いつか父親が、自分の隠居所にするつもりで、安く手に入れた材木を使って建てさせた屋敷も、それ等の土地の一つのうちにあった。

「ええ。些とばかりの地面や木なんぞ貰ったって、何になるもんですか。水島の物にだって目をくれてやしませんよ」お島は跣足で、井戸から如露に水を汲込みながら言った。

「好い気前だ。その根性骨だから人様に憎がられるのだよ」

「憎むのは阿母さんばかりです。私はこれまで人に憎がられた覚なんかありゃしませんよ」

「そうかい、そう思っていれば間違はない。他人のなかに揉まれて、些とは直ったかと思っていれば、段々不可くなるばかりだ」

「余計なお世話です。自分が育てもしない癖に」お島は如露を提げて、さっさと奥の方へ入って行った。

十四

お島はもう大概水をくれて了ったのであったが、家へ入ってからの母親との紛紜が気煩さに、矢張大きな如露をさげて、其方こっち植木の根にそそいだり、可也の距離から来る煤煙に汚れた常磐木の枝葉を払いなどしていたが、目が時々入染んで来る涙に曇った。

「お島さん、どうも済んませんね」などと、仕事から帰って来た若いものが声をかけたりした。

「私はじっとしていられない性分だからね」